第4話
一冊目(親孝行ができなかった夏)
(「虫の音、風の音」は次チャプターにて公開します。)
「親孝行ができなかった夏」に決めた。
(本をタップし、取り出しましょう。)
本を取り出し、開いた。
瞬間、世界は闇に包まれた。
立っている感覚はある。
世界に光が戻ったとき、あなたは知らない場所にいた。
田舎にある家の縁側。入道雲が浮かぶ空。
だが、座った姿勢のまま動けない。
???「(お母さん…)」
少年の声が脳内に響いた。
???「(まだ怒ってるかな…)」
???「(ずっと反抗期で、いろいろ言っちゃったもんな…)」
???「(「親の愛に気づく頃にはもう遅い」って、こういうことなのか…)」
???「…会いに行くよ、お母さん」
立ち上がって、
また暗転した。
恐世「気づきましたか?」
恐世が現れた。
恐世「親孝行ができなかった夏」は、母親を想う息子の、短い話です。
恐世「ですが…」
恐世「違和感に、気づきました?」
恐世「それなら、もう一度確認してみてください。」
恐世「気づきましたか。それは良かったです。」
あなた「息子さんは「親の愛に気づく頃にはもう遅い」と。」
あなた「それと、「会いに行くよ」って。」
あなた「母親は亡くなっていて、息子はそのあとを追おうとしていたんですか。」
恐世「お見事です。」
微笑みを崩さずに。
恐世「それでは、図書館に戻りましょうか。」
暗転が解けたとき、あなたと恐世は図書館にいた。